
ストーリー
経歴と哲学
• 生い立ち:私は1941年に沖縄県読谷村(よみたんそん)で生まれました。
読谷村は、琉球古典音楽の始祖とされる赤犬子(あかいんこ)のが祀られている地として知られており、この豊かな文化環境が私が三線と沖縄の伝統音楽に深く関わる基盤を築きました。
• 創業:1978年、沖縄市松本にて「池武当新垣三線店(本店)」を開業し、2025年現在に至るまで精力的に三線製作に取り組んでいます。
• 職人としての哲学:私は常にさんしんの使い手のニーズを考慮することを信条としています。
従来の三線が抱える課題により
「三線を演奏する人が減ってしまう」
という強い危機感を持ち、文化の保存と発展のために革新が必要だと感じてきました。
三線製作における主要な革新
私は伝統的な本皮(ニシキヘビの皮)の柔らかな音質を維持しつつ、実用的な耐久性と使いやすさを両立させることを目指し、二つの画期的な技術を開発しました。
1. 強化張り(きょうかばり)
従来の三線の本皮は、演奏しない場合でも半年以内に破損するなど、頻繁な張替えが必要でした。
この課題を解決するため、私は土木用のシートにも用いられる合成繊維製の人工布を補強材として用いる「強化張り」技術を開発しました。
• 技術と効果:胴の木枠にまず特殊な合成繊維を張り付け補強し、その上から本皮を張り合わせるこの技術により製作時の破損が激減し、完成後の三線の耐久性が飛躍的に向上しました。
従来の本張りと遜色のない柔らかな音質を保ちながら、人工皮並みの耐久性を兼ね備えています。
• 特許戦略:この技術は1991年に
「三味線製造方法及び装置」
として特許出願されました。
(特許出願平3-314989)
しかし、私はあえて特許を取得しないという選択をしました。
これは特許料を上乗せして価格を上げることを避けるため、そして技術を当店だけが独占せず、業界全体の生産量を上げて三線の普及を促進するためでした。
この出願は、他業者が独占することを防ぐ「防衛的特許出願」だったのです。
2. なとーんどーさんしん
私は、三線が抱える三つの「不」(不便さ)
・調弦の困難さ
・環境への脆弱性
・汎用性の限界
を改善するために
「なとーんどー三線」
を開発しました。
• 革新的な機能:
◦ 「ゆるみにくいカラクイ」:指2本で簡単に固定でき、初心者でも約1分で調弦(チンダミ)が完了します。
◦「がたつかない部あて」:部あてとチーガを特殊技術を組み込みぶれない仕組みを創り音質もきれいになります。
◦ 「本皮の特殊コーティング」:湿気や水に弱い本皮に特殊コーティングを施すことで、直接水を吹きかけたりアイロンを当てたりしても音質が変化しないほどの耐水性と耐湿性を実現しました。
◦ 「音質可変機能(特注品)」:本皮の張り具合を自在に調整できるため、1丁で高音から低音まで幅広い音色を出すことが可能です。
• 商標と受賞歴:「なとーんどー」は商標登録されており、
沖縄の方言で「(音が)鳴っているよ」と「出来ているよ」という二つの意味が込められています。
• 評価:この革新性が高く評価され、2024年1月13日に開催された第47回沖縄市産業まつり内の「新商品アワード」において、数ある市産品の中から最高金賞を受賞しました。
結び
私の目標は、技術革新を通じて三線の寿命を延ばし、演奏の敷居を下げることで、沖縄の豊かな三線音楽の伝統が将来の世代に確実に受け継がれるようにすることです。
今後も伝統的な職人技の保存と、使い手のことを考えた三線製作、未来に向けた革新の精神を追求してまいります。







